新栄グループ主催の不動産による資産運用セミナー
なぜ今、不動産なのか
歯止めの利かない物価上昇インフレに強いと言われる
不動産を投資と市況の視点から学ぶ
今夏、新栄グループ主催で行われたセミナーは、講師に実業家・不動産投資家・経営コンサルタントの倉橋隆行先生に、インフレに強いと言われる、「不動産」をテーマに、最新の市況や、今後の情勢について専門家の視点から教えていただき、資産運用のポイントをわかりやすく解説していただきました。今回のセミナーは約80名もの方がご参加くださり、講義終了後は熱心にご質問をされる方もいらっしゃいました。
人口減とともに進む地域格差
どこに投資するかの見極めを
トマ・ピケティは『21世紀の資本』で「r>g」という不等式を示しています。「r」は資本収益率、「g」は経済成長率。資産(資本)によって得られる富は、労働によって得られる富よりも成長が早い。投資の利回りが実体経済を常に上回っているということです。
NY金の価格は1975年から2017年の42年間で7・78倍、年5%で成長、東京金は42年で2・83倍、インフレ率2・51%です。物価の上昇は交換レートの変化です。100円の水が120円になるのは「120円でないと買えなくなった」「交換のレートが変わった」ということです。給与が上がらない間に物価は2~3%上昇。「r>g」とはまさにそういうことで、投資してきた人は資産を持ち、投資してこなかった人は資産がないわけです。
銀座・鳩居堂前の路線価は1987年の1㎡1500万円から2017年の4032万円と、30年間で2・69倍に上昇。建築資材が高騰し、人件費も上がっています。国土交通省の不動産価格指数を見ても、マンションの価格は上昇し、同時に、東京とその他の地域の価格格差は拡大しています。
人口減少が地域格差を生み出します。2004年12月の1億2784万人をピークに日本の人口は下降、30年には1億1522万人、50年には9515万人と予測されています。23年の出生数は72万7277人で統計開始以来、初めて80万人を割り込みました。一方、亡くなった人は157万5936人で出生の倍以上。高齢化、少子化が進み、人口が減少しますが、どこでも一律に減るわけではありません。増えるところと減るところがあるのです。
東京が不動産の供給過多になると、横浜から東京に移る。空いた横浜の家に湘南から移ってくる。「ストロー現象」で中心地に吸収されるけれど、湘南が空いたからといって、さらに先から移りはせずに空いてしまう。逆に、東京で賃料が上がると、もう少し安いところ、横浜や川崎に移る。すると、その地域の賃料が上がって、湘南や平塚へ移る。しかし、その先へは行かない。「ここまでは行かない」ところは空いてしまう。
所得と家賃、不動産価格は連動します。年収300万円、手取り250万円ならば賃料は4~5万円しか払えないが、年収600万円、手取り500万円なら15万円の賃料でも払える。人口が増えるところは地価が上がって賃料も上がる。やはり、所得の高い人が好むエリアへの投資が有利になります。
東京と地方の格差と同様、九州の中でも福岡とその他の地域の格差は大きい。集中するところと過疎化するところの二極化が進み、人口減はさらに加速化します。だからこそ、「どこに不動産を持つか、投資するか」を考えなければいけない。
「不動産投資は最もリスクが低い」というのが世界の常識です。失敗しないためには、人口動態を見極め、賃料相場、空室率をしつかりと把握しておくことが大切です。
資産を増やして相続税を圧縮
不動産投資で豊かな人生を
1000万円を利率0・02%の定期預金にすると10年後には1002万18円になる。ですが10年間のインフレ率が2%ならば「10年後には1219万円になっていなければ損」と見るべきで、「217万円損した」のと同じなんです。
「不動産を買う」のは支出ではなく、現金預貯金との資産交換です。現金預貯金を不動産に換えて収入を増やす。そして相続税を「負債」とカウントして、生きているうちに。その圧縮を考えることです。
僕が初めて不動産投資した時は、資産が現金300万円、負債ゼロで純資産は300万円でした。そこで2700万円借り入れて3000万円の店舗を買いました。諸経費はかかりますが、純資産は変わりません。店舗の賃料は月23万円で年間276万円。2700万円を金利3%、20年ローンで計算すると返済は年間180万円。「276万円│180万円」で年に96万円、10年間で960万円の現金が残ります。不動産価格を購入時価格の3000万円で計算しても総資産は3960万円。一方、ローンの残金は10年後には1550万円に減っています。
資産3960万円から負債1550万円を引いた純資産は2410万円。300万円の純資産が10年で2410万円に増加。家賃収入からローンが減って、純資産が拡大していく。これが不動産投資です。
相続税の圧縮には、「小規模宅地の評価減」特例の活用が効果的です。自宅の土地(特定居住用宅地等)なら330㎡まで80%、マンションなど賃貸住宅なら200㎡まで50%、相続税評価額を減額できます。路線価が1㎡6万円の居住用宅地なら330㎡で1584万円、1㎡60万円ならば1億5840万円、相続税が減額されます。路線価が高いところが有利になる仕組みです。
路線価が低い土地をそのまま持っておくか。路線価の高い土地に買い替えて活用するなら、借り入れも増えるけれど、資産が増えて相続税を大幅に圧縮することができる。税制を考えながら、今どうするべきかを考えることです。
「相続税を払うため」だけに土地をそのまま取っておくのは戦略的に疑問です。「先祖代々の土地」に手を付けることにはためらいがあるかもしれませんが、活用して売却するなり、建て替えて活用するなり、よりよいところを後継者に譲り渡すなりした方が、ご先祖さまも喜ぶのではないでしょうか。
お金は人生を豊かにします。お金があれば幸福というわけではありませんが、不幸を回避することはできます。生まれて死ぬまでの間、楽しむようにできている人生です。幼少時代、学生時代、社会人時代、そして熟年時代と、生き方が変わり、楽しみ方も変わってきます。楽しみ、自分自身が満足するために、やはりお金は必要です。
僕は、23もの会社に携わってきて、いろんな人といろんな人生を味わってきました。これらを通して得たノウハウを皆さんと共有して、少しでも人生に役立つことをしていきたいと考えています。
倉橋氏のグループ会社には、税理士や弁護士が社員で在席しています。
実業家・不動産投資家・経営コンサルタント
CFネッツグループ会長/株式会社CF-1代表取締役
倉橋隆行氏
1958年生まれ。2000年に日本初の不動産コンサルタント会社CFネッツを創業、現在グループ十数社を率いる現役の実業家。20社超の起業に携わり、複数の事業再生案件を成功させた経営コンサルタントでもあり、不動産投資分野の先駆者としても知られている。「損しない相続」「不動産投資成功の方程式」など著書多数。
202411/11